何かが起こった


何かが起こった


ディーノ・ブッツァーティ

ブッツァーティ読書会・稲垣豊典 訳



Dino Buzzati, Sessanta Racconti, Mondadori 


 列車がほんの数キロばかり走ったときのことだった(そして道のりはまだ長く、こうしてノンストップでl0時間走って、ようやくはるか遠方の終着駅にたどり着く)、とある踏切のところに一人の若い女がいるのが車窓から見えた。まったくの偶然で、何であれ別のものが目に入ってもおかしくなかったのだが、視線は、美人でもグラマーでも特に取り立てて言うことのほどでもないその女性の上に落ち、どうしてだか彼女を見つめるはめになってしまった。その女が柵にもたれて、私たちの列車、超特急、北上特急、田舎の人にとってはあの巨億の富、贅沢、冒険家、ピカピカの革のスーツケース、有名人、銀幕の貴婦人などのシンボルであり、そして1日1回の、おまけにまったくタダのこの素晴らしい見せ物を眺めて楽しんでいることは明らかだった。

 ところが、列車がその前を通過したとき、その女は私たちの方を見ていなかった(きっと1時間も前からそこで待っていたのだろうが)。後ろを振り向き、道の彼方から、私たちにはもちろん聞き取れないが、何事かを叫びながら走ってくる一人の男の方を見つめていた。その男は、あたかも女に何か急を告げに息せき切って駆けてくるようだった。といっても一瞬のことだった。その場面は後ろへ飛び去り、かくて私は、私たちを眺めにやって来ていた娘にあの男はいかなる不安の種をもたらしたのだろうかと、心中考えをめぐらせていた。そして、車体のリズミカルな揺れに合わせてうとうととしかかったとき、たまたま------もちろん まったくの単なる偶然の一致なのだが------一人の百姓が低い塀の上に立って、口に手を当てて、野良の方に向かって声をかぎりに叫んでいるのが目に入った。特急は矢のように走っており、今度も一瞬のことだったが、それでも 6、7人が野原や田畑やまぐさ畑を踏みにじるのもかまわずに横切って駆け寄って来るのが見えた。よほど重大なことに違いなかった。彼らはいろんな方向からやって来た。家の中から、生け垣の穴から、またブドウか何かの植え込みの間からみんな、大声を上げている若者の立つあの低い塀の方を目指していた。彼らは駆けていた、なんと駆けに駆けているのだろう、彼らの心を強烈に捕らえ、その平穏な暮らしを奪い去る何か思いがけない警報に驚愕していたのだろうか。繰り返すがしかし、一瞬一閃のことであり、他のことを観察する暇はなかった。

 それにしても奇妙だ、と思った。わずか数キロの間に、少なくとも私の推察するところ、人々が突然のニュースを受け取る場面に二度も出くわすなんて。こうなっては何となく気掛かりで、田野や道や集落や農家を胸騒ぎと不安のうちに探るように見渡した。

 たぶんそんな特別な心理状態のせいだろう、人々、農夫や車夫らを観察すればするほど、ますますもって至る所に常ならぬ騒ぎがあるように見えた。いや、そうに違いない、あの中庭での人の右往左往、あの不安げな女たち、あの荷車、あの家畜たち、これはまたどうしてか。いずこも同じだった。列車のスピードのせいでよく見分けることができなかったが、それでも、誓ってもいいが原因はどこでも同じものに違いなかった。あるいは村祭りを祝っていたのか。それとも市場に馳せ参じようとしていたのか。もっとも、列車は走行中であり、その混乱ぶりから判断するかぎり、田舎はどこも大騒ぎだった。そこで私は、踏切の女と塀の上の若者と農夫たちの行き来とを一つに結びつけた。何かが起こった、が、車上の私たちはそれを何も知らないのだ、と。

 私は、旅の道連れ、客室に座っている者や通路に立っている者の方を見やった。彼らは何も気づいていなかった。安心しきっているようであり、向かいの60歳くらいの婦人は居眠りしかかっていた。いや、それとも内心不審に思っているのだろうか。そうだ、彼らもそれぞれ不安なの だが、あえて口にしないだけのことなのだ。一度ならず私は、彼らが不意に視線を巡らせて外を伺うのを目撃した。とりわけあのうとうとしている婦人、まさに彼女が瞼を薄く開けて、私に狸寝入りを見破られたのではなかろうかと素早く伺っていた。いったい皆、何を恐れているのだろう。

 ナポリ。いつもはここで列車は止まる。今日の特急は止まらない。古い家並みは、私たちをかすめて飛び去り、薄暗い中庭には明かりのついた窓が見え、部屋の中では------一瞬のことだったが------女も屈んで荷物を詰めトランクを閉めている、とそう見えた。それとも私の思い違いで、すべて幻想だったのだろうか。

 彼らは出発の支度をしていた。どこかへ? だとすると、何かめでたいニュースに都会も田舎も浮かれ騒いでいるのではなかった。威嚇か危険か破滅の警告か。私は心の中でこうつぶやいた、でも、もし大災害があったのなら列車を止めるだろうに、と。ところが、列車はすべて順調で、まるで開通列車のように信号はいつも青、ポイントの切り替えは完全だ った。

 隣の若者が、体をほぐす振りを装って立ち上がった。実は、もっとよく見ようとしたのであって、窓ガラスに近寄るために私の上に身を屈めた。外には田舎と太陽と白っぽい道があり、その道には荷車やトラック や歩く人々の群れが、守護聖人の日に至聖所へと向かう行列のようにずうっと並んでいた。その数はさらに多く、列車が北上するにつれてますます密になった。しかも、みんな同じ方向を取り、難を避けるべく南に下っているのだった。一方、私たちは正反対の方向、戦争、革命、疫病、災害、いったい何があるのかもわからぬ方向に向かって、気違いじみた速度で突き進んでいた。5時間後、到着してみなければ何もわからないだろう、ところが、それではもう遅すぎる。

 誰も一言も口をきかなかった。誰も、最初に屈服したくなかった。あの警報がどれも本当なのか、それとも単なる気狂いじみた空想、幻想、列車に乗っていて少し疲れたときよく湧いてくるあの馬鹿げた考えの一つなのか決めかねて、めいめいが、ちょうど私がそうだったように、内心疑っていた。向かいの婦人が、目覚めを装って溜め息をつき、眠りから醒めると誰でも機械的に視線を上げるように、彼女も瞼を上げて、ほとんど偶然のように非常警報器の取っ手に目をやった。私たちも皆同じ想いでその器具を見た。誰もしかし、話さなかった。あるいはただ、何か外に気掛かりなことを目にしなかったかを敢えて尋ねようともし なかった。

 今や道は車と人で埋めつくされ、皆、南に向かっていた。すれ違う列車は人で鈴なりだった。北に向かって私たちがこんなにも急いで飛ぶように通り過ぎていくのを、地上から見ている人たちの眼差しは、驚きで見開いていた。駅は人でぎっしり一杯だった。私たちに合図したり何か叫んだりしていたが、山彦のように母音しか聞き取れなかった。

 向かいの婦人はじっと私を見つめていた。宝石をいっぱいはめた手でいらいらとハンカチをこね回しながらも、その視線はこう訴えているようだった。口をきいて下さいな、さあ、この沈黙から救ってちょうだい、皆、恩寵のように心待ちしながら、誰もまず自分からは口に出そうとしない質問を切り出してくださいな、と。

 別の町だ。列車が構内に入り少し速度を緩めると、機関士が止めてくれないものかとの期待に逆らえず、2、3人が立ち上がった。列車はしかし、不安にかられた群衆が山ほどのごたごたした荷物を手に、出発間際の汽車の方に息せき切って殺到しているプラットホームの側を、轟音をたててつむじ風のように通過した。一人の少年が、新聞の束を抱えて私たちの後を追いかけ、第一面に黒い大きな見出しの出ているその一つをひらひらさせた。とその時、向かいの婦人が身を乗り出し、目にもとまらぬ早業でその紙をうまくひったくったのだが、走行中の風にもぎ取られてしまった。手には一片の紙の切れ端しか残らなかった。その皺を伸ばすときの彼女の手が震えているのを私は見てとった。三角形の断片だった。題字と大きな見出しの4文字だけが読めた。-IONE とあった。それ以外何もなかった。裏はどうでもいい三面記事だった。

 黙ったまま婦人は、皆に見えるようにその紙片を少し高くかざした。しかしもう、皆、覗いてしまっていた。しかも、気にしていない振りをしていた。恐怖が募るにつれ、めいめいの中であの慎みがますます強くなっていった。-IONEなる語尾で終る何かに向かって、私たちは狂人のように走っているのであり、その何かは、もしそのニュースに国民全体がすぐさま逃げ出したのだとすれば、驚くべきことに違いなかった。何か新しいすさまじい出来事がこの国の人々の生活を破滅に陥れ、男も女もただ逃げることしか考えず、家も仕事も商売もすべて打ち捨てたというのに、私たちの列車、否、呪われた列車は時計のように規則正しく、また、敵がもう待ち伏せているのに己が塹壕にたどり着くべく、敗残部隊とは反対の方向に向かって進む誠実な兵士のように前進していた。しかも、あの慎みと呼ばれるものゆえに、人間の哀れな常識的配慮のゆえに、誰もそれに逆らう勇気を持たなかった。おお、列車はなんと人生に似ていることか!

 あと2時間だった。2時間後、到着とともに私たちの運命がわかる。2時間、1時間半、1時間、もう夕闇が迫ってきた。遠く、待ちに待った 故郷の町の灯りが見え、黄色い暈となって空に照り返すそのじっと動かぬ輝きは、私たちに力強い息づかいを蘇らせた。機関車は汽笛を鳴らし、車輪は迷路のような切り替えポイントの上を轟音をたてて通過した。駅、 屋根の黒い曲線、電灯、ポスター、すべてがいつものとおりだった。

 ところが、なんと恐ろしいことに、特急はなおも走り続け、そして駅は無人で、プラットホームは閑散として何もなく、見渡すかぎり人影はなかった。列車はようやく止まった。私たちはホームに跳び降り、誰か自分たちと同じような者はいないかと出口に向かって駆け出した。右手の奥の方、うす暗がりの片隅で、くたびれた帽子姿の駅員が怯えたように扉の陰に身を隠すのがちらっと見えたような気がした。何が起こったのだろう。町にはもう誰もいないのだろうか。ついに、銃声のように甲高く鋭い女性の声が私たちをぞっとさせた。「助けて~! 助けて~!」と 叫ぶその声は、永遠に打ち棄てられた場所に虚ろな響きとともに、ガラスのドーム天井の下に何度もこだました。






Dino Buzzati




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QUALCOSA  ERA  SUCCESSO

    

Il treno aveva percorso solo pochi chilometri  (e la  strada  era lunga, ci saremmo fermati soltanto alla lontanissima stazione d’arrivo, cosí correndo per dieci ore filate)  quando a un passaggio a livello vidi dal finestrino una giovane donna.  Fu un caso, potevo guardare tante altre cose invece lo sguardo cadde su di lei che non era bella né di sagoma piacente, non aveva proprio niente di straordinario, chissà perché mi capitava di guardarla.  Si era evidentemente appoggiata alla sbarra per godersi la vista del nostro treno, superdirettissimo, espresso del nord, simbolo per quelle popolazioni incolte, di miliardi, vita facile, avventurieri, splendide valige di cuoio, celebrità, dive cinematografiche, una volta al giorno questo meraviglioso spettacolo, e assolutamente gratuito per giunta.

 Ma come il treno le passò davanti lei non guardò dalla nostra parte  (eppure era là ad aspettare forse da un’ora)  bensí teneva la testa voltata indietro badando a un uomo che arrivava di corsa dal fondo della via e urlava qualcosa che noi naturalmente non potemmo udire:  come se accorresse a precipizio  per avvertire la donna di un pericolo.  Ma fu un attimo:  la scena volò via, ed ecco io mi chiedevo quale affanno potesse  essere giunto, per mezzo di quell’uomo, alla ragazza venuta a contemplarci.  E stavo per addormentarmi al ritmico dondolio della vettura quando per caso  ― certamente si trattava di una pura e semplice combinazione — notai un contadino in piedi su un muretto che chiamava chiamava verso la campagna facendosi  delle mani portavoce.  Fu anche questa volta un attimo perché il direttissimo filava eppure feci in tempo a vedere sei sette persone che accorrevano attraverso i prati, le coltivazioni, l’erba medica, non importa se la calpestavano, doveva essere una cosa assai importante. Venivano da diverse direzioni chi da una casa, chi dal buco di una siepe, chi da un filare di viti o che so io, diretti tutti al muricciolo con sopra il giovane chiamante.  Correvano, accidenti se correvano, si sarebbero detti spaventati da qualche avvertimento repentino che li incuriosiva terribilmente, togliendo  loro la pace della vita.  Ma fu un attimo, ripeto, un  baleno, non ci fu tempo per altre osservazioni.

     Che strano, pensai, in pochi chilometri già  due casi di gente che riceve una improvvisa notizia, cosí almeno presumevo. Ora, vagamente suggestionato, scrutavo la campagna le strade, i paeselli, le fattorie, con presentimenti ed  inquietudini.

    Forse dipendeva da questo speciale stato d’animo, ma piú osservavo la gente, contadini, carradori, eccetera, piú mi sembrava che ci fosse dappertutto una inconsueta animazione.  Ma sí, perché quell’andirivieni nei cortili, quelle donne affannate, quei carri, quel bestiame?  Dovunque era lo stesso.  A motivo della velocità  era impossibile distinguere bene eppure avrei giurato che fosse la medesima causa dovunque.  Forse che nella zona si celebravan sagre?   Che gli uomini si disponessero a  raggiungere il mercato?   Ma il treno andava e le campagne erano tutte in fermento, a giudicare dalla confusione.  E allora misi in rapporto la donna del passaggio a livello, il giovane sul muretto, il viavai dei contadini: qualche cosa era successo e  noi sul treno non ne sapevamo niente.

    Guardai i compagni di viaggio, quelli nello scompartimento,  quelli in piedi nel corridoio.  Essi non si erano accorti.   Sembravano tranquilli e una signora di fronte a me sui sessant’anni stava per prender sonno. O invece sospettavano?  Sí, sí, anche loro erano inquieti, uno per uno, e non osavano parlare.  Piú di una volta li sorpresi, volgendo gli occhi repentini, guatare fuori. Specialmente la signora sonnolenta, proprio lei, sbirciava tra le palpebre e poi subito mi controllava se mai l’avessi smascherata.  Ma di che avevano paura?

      Napoli.  Qui di solito il treno si ferma.  Non oggi il diret-tissimo.  Sfilarono rasente a noi le vecchie case e nei cortili oscuri vedemmo finestre  illuminate e in quelle stanze —fu un attimo — uomini e donne chini a fare involti e chiudere valige, cosí pareva.  Oppure mi  ingannavo ed erano tutte fantasie?

    Si preparavano a partire. Per dove?  Non una notizia fausta dunque elettrizzava città e campagne.  Una minaccia, un pericolo, un avvertimento di malora.  Poi mi dicevo: ma se ci fosse un grosso guaio, avrebbero pure fatto fermare il treno; e il treno invece trovava tutto in ordine, sempre segnali di via libera, scambi perfetti, come per un viaggio inaugurale.

    Un giovane al mio fianco, con l’aria di sgranchirsi, si era alzato in piedi.   In realtà voleva vedere meglio e si curvava sopra di me per essere piú vicino at vetro.  Fuori, le campagne, il sole, le strade bianche e sulle strade carriaggi, camion, gruppi di gente a piedi, lunghe carovane come quelle che traggono ai santuari nel giorno del patrono.  Ma erano tanti, sempre piú folti man mano che il treno si avvicinava al nord.  E tutti avevano la stessa direzione, scendevano verso mezzogiorno, fuggivano il pericolo mentre noi gli si andava direttamente incontro, a velocità pazza ci precipitavamo verso la guerra, la rivoluzione, la pestilenza, il fuoco, che cosa poteva esserci mai?  Non lo avremmo saputo che fra cinque ore, al momento dell’arrivo, e forse sarebbe stato troppo tardi.

      Nessuno diceva niente.  Nessuno voleva essere il  primo a cedere.  Ciascuno forse dubitava di sé, come facevo io, nell’incertezza se tutto quell’allarme fosse reale o semplicemente un’idea pazza, allucinazione, uno di quei pensieri assurdi che infatti nascono in treno quando si è un poco stanchi. La signora di fronte trasse  un sospiro, simulando di essersi svegliata, e come chi uscendo dal sonno leva gli sguardi meccanicamente, cosí lei alzò le pupille fissandole, quasi per caso, alla maniglia del segnale d’allarme.  E anche noi tutti  guardammo l’ordigno,  con l’identico  pensiero.  Ma nessuno parlò o ebbe l’audacia di rompere il silenzio o semplicemente osò chiedere agli altri se avessero notato, fuori, qualche cosa di allarmante.

      Ora le strade formicolavano di veicoli e gente, tutti in cammino verso il sud. Rigurgitanti i treni che ci venivano incontro. Pieni di stupore gli sguardi di coloro che da terra ci vedevano passare, volando con tanta fretta al settentrione.  E zeppe le stazioni.  Qualcuno ci faceva cenno,  altri ci urlavano delle frasi di cui si percepivano soltanto le vocali come echi di montagna.

     La signora di fronte prese a fissarmi. Con le mani piene di gioielli cincischiava nervosamente un fazzoletto e intanto i suoi sguardi supplicavano: parlassi, finalmente, li sollevassi da quel silenzio, pronunciassi la domanda che tutti si aspettavano come una grazia e nessuno per primo osava  fare.

      Ecco un’altra città. Come il treno, entrando nella stazione, rallentò un poco, due tre si alzarono non resistendo alla speranza che il macchinista fermasse.  Invece si passò, fragoroso turbine, lungo le banchine dove una folla inquieta si accalcava anelando a un convoglio che partisse, tra caotici mucchi di bagagli.  Un ragazzino tentò di rincorrerci con un pacco di giornali e ne sventolava uno che aveva un grande titolo nero in prima pagina.  Allora con un gesto  repentino, la signora di fronte a me si sporse in fuori riuscí ad abbrancare il foglio ma il vento della corsa glielo strappò via.  Tra le dita restò un  brandello.  Mi accorsi che le sue mani tremavano nell’atto di spiegarlo.  Era un pezzetto triangolare.  Si leggeva la testata e  del gran titolo solo quattro lettere.  IONE, si leggeva.  Nient’altro. Sul verso, indifferenti notizie di cronaca.

    Senza parole, la signora alzò un poco il frammento affinché tutti lo potessero vedere. Ma tutti avevamo già guardato. E si finse di non farci caso.  Crescendo la paura, piú forte in ciascuno si faceva quel ritegno. Verso una cosa che finisce in IONE noi correvamo come pazzi, e doveva essere spaventosa se, alla notizia, popolazioni intere si erano date a immediata fuga. Un fatto nuovo e potentissimo aveva rotto la vita del Paese, uomini e donne pensavano solo a salvarsi, abbandonando case, lavoro, affari,  tutto, ma il nostro  treno, no, il maledetto treno marciava con la regolarità di un orologio, al modo del soldato  onesto che risale le turbe dell’esercito in disfatta per raggiungere la sua trincea dove il nemico già sta bivaccando.  E per decenza, per un rispetto umano miserabile, nessuno di noi aveva il coraggio di reagire.  Oh i treni come assomigliano alla vita!

   Mancavano due ore. Tra due ore, all’arrivo, avremmo saputo la comune sorte. Due ore, un’ora e mezzo, un’ora, già scendeva il buio. Vedemmo di lontano i lumi della sospirata nostra città e il loro immobile splendore riverberante un giallo alone in cielo ci ridiede un fiato di coraggio.  La locomotiva emise un fischio, le ruote strepitarono sul labirinto degli scambi.  La stazione, la curva nera delle tettoie, le lampade, i cartelli, tutto era a posto come il solito.

     Ma, orrore!, il direttissimo ancora andava e vidi che la stazione era deserta, vuote e nude le banchine, non una figura umana per quanto si cercasse.  Il treno si fermava finalmente. Corremmo giú per i marciapiedi, verso l’ uscita, alla caccia di qualche nostro simile.  Mi parve di intravedere, nell’angolo a destra in fondo, un po’ in penombra, un ferroviere col suo berrettuccio che si eclissava da una porta, come terrorizzato.Che  cosa era successo?  In città non avremmo piú trovato un’anima?  Finché la voce di una donna, altissima e violenta come uno sparo, ci diede un brivido.   « Aiuto! Aiuto! » urlava e il grido si ripercosse sotto le vitree volte con la vacua sonorità dei luoghi per sempre abbandonati.


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