魔法の背広

魔法の背広


ディーノ・ブッツァーティ 作

ブッツァーティ読書会・稲垣豊典 訳

挿絵 大西三笠



 洗練された着こなしというのは確かに素晴らしいものだが、私は、周りの人の服の仕立て具合が完全かどうか気に止めて見ることはまずない。

 ところがある夜、ミラノのとある家でのパーティーで一人の男と知り合った。歳の頃四十、その服装の文句のない清楚な美しさで文字どおり輝いていた。

 初対面で、誰だか分からなかった。紹介はされたが、例によって名前はすぐには覚えられなかった。その晩しかし、たまたま近くに居合わせ、言葉を交わす機会があった。礼儀正しく教養のある紳士と見えた。が、どこか暗い影があった。いささか大げさな親しみを込めて ------- ああ、あの時、神さまが注意を他のことに逸らせていてくれたなら ------- その服装の趣味の良さに対してお世辞を述べた。更に厚かましくも、仕立屋の名前を聞くことまでした。

 まるでその問いを待っていたかのように、男は奇妙な薄笑いを浮かべた。

「ほとんど誰も知らないんですが、腕は確かです。気が向いた時にしか仕事しませんし、それもわずかのお得意さんだけ」

「だったら、私なんぞ・・・」

「おお、ひとつ試してごらんになれば。コルティチェッラという名前です。アルフォンソ・コルティチェッラ、フェッラーラ通り十七」

「高いんでしょうね、きっと」

「でしょうね。でも、本当のところよく知らないんですよ、私も。この服は三年前に作ってもらったんですが、請求書もまだ送ってこないんです」

「コルティチェッロさん、フェッラーラ通り十七、とおっしゃいましたね」

「そのとおりです」と名も知らぬその男は答えて、別のグループと交わるべく、離れていった。

 フェッラーラ通り十七番地に、同じようなたくさんの家に混じって一軒の家を見つけた。アルフォンソ・コルティチェッラの住まいも他のたいていの仕立屋の住まいと何ら変わり映えしなかった。ドアを開けに来たのが彼だった。小柄な年寄りで、髪は黒かったが明らかに染めていた。

 意外なことに、渋らなかった。それどころか、お客になってくれるか心配そうだった。私は、住所を知った経緯を説明し、その出来栄えをほめ、一着仕立ててもらえないかと頼んだ。一緒に灰色のウーステッド地を選び、彼は寸法を取り、仮縫いには家まで来てくれることになった。私は値段を聞いた。そんなに慌てなくても、と彼は答えた、ご心配なさるにはおよびませんよ。なんと感じのいい男だろう、と最初は思った。しかしその後、家路につきながら、その小柄な老人が私の中に何か不快なものを残したことに気が付いた(恐らく、あのあまりにもしつっこく媚びるような作り笑いのせいだろう)。とにかく、二度と会いたいとは思わなかった。が、もう注文した後だった。そして二十日ほどして出来上がってきた。届けられたとき、ちょっと鏡の前で試してみた。完璧だった。ところが、どうしてだかよく分からないが、恐らくあの嫌な老人の記憶のせいだろう、着ようという気には全然ならなかった。その気が起きるまでに数週間が過ぎた。

 あの日のことは、私にとっていつまでも記憶に残るだろう。あの日は四月のある火曜日で、雨降りだった。その服 ------- 上着にズボンにチョッキ ------- を着込んでみて、新しい衣服に付きもののあの引きつった感じがどこにもなく、体にもぴったりでとても心地良かった。

 私は上着の右ポケットにはまず何も入れない、書類は左ポケットに入れる。ほんの二時間ほどして、会社でたまたま右ポケットに手を突っ込んだとき、中に紙切れがあるのに気が付いたのはそのためである。ひょっとして仕立屋の勘定書だろうか。

 そうではなかった。一万リラ札だった。

 啞然とした。私が入れたのではもちろんない。かといって、仕立屋の後、その服に近寄る機会のあった唯一の人物である手伝いの女性からの贈り物と考えるのも馬鹿げている。あるいは偽札だろうか。明かりに透かして見、他のと比べてみた。本物に間違いなかった。

 ただ一つ考えられるのは、コルティチェッラがついうっかりしていたということだ。仮に、誰かお客が彼のところへ月賦を払いに来たとする、その時彼は財布を持っていなかった、それで、そのお札を放っておくわけにもいかず、私の背広のポケットに突っ込み、マネキンに掛けたままにしておいた。あり得ることだ。

 秘書を呼ぼうと、呼び鈴を鳴らした。コルティチェッラに手紙を書いて、私のものではないそのお金を返そうと思ったからだ。ところが、どうしたはずみか自分でも分からないのだが、またポケットの中に手を突っ込んだ。

「どうなさったのですか。ご気分でもお悪いのですか」、ちょうどその時入ってきた秘書が尋ねた。死人のように真っ青になっていたに違いない。ポケットの中で指がまた一枚の紙切れの縁に触っていた。ちょっと前まではなかったはずだ。

「いや、いや、別に、ちょっとめまいがしただけだ、この間から時々起こるんだ、少し疲れているんだろう。いや、よろしい、手紙を一通タイプで打ってもらおうと思ったんだが、また後にしよう」

 秘書が出て行ってから、ようやくその紙切れを取り出してみた。またしても一万リラ札だった。そこで、もう一度試してみた。三枚目が出てきた。

 心臓がどきどきした。子供たちに話して聞かせはしても、本当とは誰も信じていないあのおとぎ話の世界の出来事にいつの間にか巻き込まれた、という感じだった。

 気分がすぐれないと言い訳して会社を退き、帰宅した。一人になる必要があった。幸い、家事をしてくれる女性はもう帰った後だった。ドアを閉め、ブラインドを降ろした。そして、ポケットからお金を次から次へとものすごい速さで取り出し始めた。いつまでも尽きそうになかった。

 今にも奇跡が終わるのではないかと恐れつつ、神経をぴりぴりさせてその作業を続けた。夕方から夜中かけて、何十億という額になるまで続けていたかったのだが、いつしか力尽きた。

 目の前には驚くべきお札の山ができていた。絨毯の詰まっていたトランクを空にし、その底に少しづつきちんと束にして数えながら積み上げた。五千八百万はたっぷりあった。

 次の朝、私が服を着たままベッドに横たわっているのを見つけてびっくりした家政婦に起こされた。笑ってごまかし、昨夜いささか飲みすぎ、そのまま眠ってしまったのだと言い訳した。

 もう一つの心配は、せめてブラシを一つかけるから服を脱ぐようにと家政婦が催促したことだった。

 すぐ出かけなければならないので着替えている暇はない、と答えた。そして、もう一着同じような生地の服を買いに洋服屋に飛びこんだ。それを家政婦に渡しておくつもりだった。「私の」、数日のうちに世界の大金持ちの一人にしてくれるあれは、安全な所に隠しておくのだ。

 夢の中に生きているのか、幸福なのか、それともあまりにも大きな運命の重みに圧し潰されそうになっているのか、よく分からなかった。道を歩きながらも、レインコートの上からたえずその魔法のポケットの辺りを撫で、そのたびに安堵の吐息を漏らした。安心しろというように、かさかさと紙幣の音が布地の下から返ってくるのだった。


 ところが、ある奇妙な符号が私の錯乱した歓びに水を浴びせた。その日の朝刊に、前の日にあった強盗事件が大きく報じられていた。ある銀行の現金輸送車が、支店を回ってその日の入金を本店に運ぶ途中、パルマノーヴァ大通りで四人組の強盗に襲われ、金を強奪された。人々が寄ってきたので、ギャングの一人が逃げようと発砲した。そして通行人の一人が死亡した。それはともかく、とりわけ私に衝撃を与えたのは、その奪われた金の額だった。まさしく(私のと同じように)五千八百万だった。

 私が得た思いがけない富と、ほとんど同時に起こった強盗事件との間に何か関係があり得るのだろうか。考えるのも馬鹿げているようだった。それに、私は迷信かつぎではない。とはいっても、その事実は私をひどく狼狽させた。

 人は持てば持つほどなおさら欲しくなるものだ。それまでの質素な暮らしぶりからすれば、私はもう十分に金持ちだった。が、贅沢三昧の暮らしという蜃気楼に目が眩んでいた。その夜また、例の作業に取りかかった。今度はもっと落ち着いて、神経も張りつめずに進めた。こうして、一億三千五百万が積み重なった。

 その夜、目を閉じることができなかった。危険の予感だったのか、あるいは労せずして夢のような幸運を手にした者の煩悶だったか、それとも漠とした後ろめたさだったのだろうか。空が白むやベッドから跳ね起き、服を着るのももどかしく新聞を買いに走った。

 目を通して、息を呑んだ。原油タンクから発した大火で、都心のサン・クロロ通りの建物が半焼していた。なかでも、大きな不動産会社の金庫が炎に呑まれたのだが、その中には一億三千五百万以上の現金が入っていた。その火事で、消防士が二人命を落としていた。


 さてここで、私の犯罪を一つ一つ数え上げねばならないのだろうか。そのとおり、あの背広が私に進呈してくれる金は、犯罪や血、絶望や死から来ること、地獄から来るのであることが今となっては分かったのだから。とはいえ心の中では、一笑に付していかなる責任をもそこに認めることを拒むよう理性がそっと囁くのだった。となるとまた、誘惑が頭をもたげ、手がポケットの中に滑り込み ------- かくも簡単なことなのだ ------- 素早くむさぼるように、指が次々と新たなお札の縁を握り締めるのだった。金、聖なる金よ!

 古いアパートは(目立つといけないから)引き払わず、またたく間に大きな別荘を買い、高価な絵を蒐集し、高級車を乗り回し、「健康上の理由」で会社を辞めてからは、素晴らしい女たちを連れて世界中を飛び回った。

 背広から金を取り出すたびに、この世に何か罪深く痛ましいことが起こるのは知っていた。とはいっても、相変わらず論理的な裏付けのない漠然とした意識にすぎなかった。その間にも、新たに金を手にするたびに、良心は荒み、ますます卑しくなっていった。ところで、あの仕立屋は?勘定をしてくれるよう電話したのだが、誰も出なかった。フェッラーラ通りに尋ねてみると、外国に移住したとのことだったが、どこかは分からなかった。つまり、全てが、いつの間にか私が悪魔と契約を交わしたのだと証明しようとしていた。

 果ては、私の長年住みついていたアパートで、ある朝、年金暮らしの六十歳の老婆がガス自殺しているのが見つかった。前の日に降ろした(そして私の手に入った)三万リラを失くしたがために自殺したのだった。

 たくさんだ、もうたくさんだ!奈落の底にまで堕ちぬうちに、あの背広を始末する必要があった。ひどい事が続くだろうから(このような誘惑に、いったい誰が抗しえよう)、もちろん誰にもやらずに、どんなことがあっても隠滅せねばならなかった。


 私は、車でアルプスの人里離れた谷に着いた。草原に車を残して、森の中に分け入った。人っ子一人いなかった。森を抜け、モレーンの岩場にまで行った。そこの巨大な岩の間で、リュックサックからあの呪われた背広を引っ張り出し、石油をかけて火をつけた。数分後には灰しか残らなかった。

 と、最後の炎が揺らめいたとき、背後で ------- 二~三メートル離れた所だったようだ ------- 人の声が響き渡った。

「もう遅い、もう遅すぎる!」

 ぞっとして、私はぐいと後ろを振り向いた。が、誰もいなかった。そいつの居場所を突き止めるべく、岩から岩へと跳んで捜し回った。誰もいなかった。石以外は何もなかった。

 恐怖に身をおののかせながらも、ほっとして谷にたどり着いた、やっと自由だ。その上、幸運にも金持ちだ。

 ところが、草原には車は見当たらなかった。しかも、町に戻ってみると、「売却用市有地」と書いた立て札が立っていた。銀行預金は、なぜか全部なくなっていた。たくさんの金庫からは、分厚い株券の束も消えていた。古いトランクの中は埃だけだった、埃以外は何もなかった。

 今、やっとのことで私は働き始め、なんとか暮らしを立てている、何より不思議なのは、私の突然の零落を誰も不審に思わないことだ。

 まだすっかり終わったわけではないことは分かっている。ある日、ドアの呼び鈴が鳴り、開けに行くと、卑屈な笑みを浮かべたあの破滅の仕立屋が立っていて、最後の支払いを請求するだろう、ということも分かっている。 



  

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La  giacca  stregata



 Benché io apprezzi l'eleganza nel vestire, non bado, di solito, alla perfezione o meno con cui sono tagliati gli abiti dei miei simili.

 Una sera tuttavia, durante un ricevimento in una casa di Milano conobbi un uomo, dall'apparente età di quaranta anni, il quale letteralmente risplendeva per la bellezza, definitiva e      pura, del vestito.

 Non so chi fosse, lo incontravo per la prima volta, e alla presentazione, come succede sempre, capire il suo nome fu impossibile. Ma a un certo punto della sera mi trovai vicino a lui, e si cominciò a discorrere. Sembrava un uomo garbato e civile, tuttavia con un alone di tristezza. Forse con esagerata confidenza — Dio me ne avesse distolto — gli feci i complimenti per la sua eleganza; e osai perfino chiedergli chi fosse il suo sarto.

 L'uomo ebbe un sorrisetto curioso, quasi che si fosse aspettato la domanda. « Quasi nessuno lo conosce » disse « però è un gran maestro. E lavora solo quando gli gira. Per pochi iniziati. » « Dimodoché io... ? » « Oh, provi, provi. Si chiama Corticella, Alfonso Corticella, via Ferrara 17. » « Sarà caro, immagino. » « Lo presumo, ma giuro che non lo so. Quest'abito me l'ha fatto da tre anni e il conto non me l'ha ancora mandato. » « Corticella? Via Ferrara 17, ha detto? » « Esattamente » rispose lo sconosciuto. E mi lasciò per unirsi a un altro gruppo.

 In via Ferrara 17 trovai una casa come tante altre e come quella di tanti altri sarti era l'abitazione di Alfonso Corticella. Fu lui che venne ad aprirmi, Era un vecchietto, coi capelli neri, però sicuramente tinti.

 Con mia sorpresa, non fece il diffcile. Anzi, pareva ansioso che diventassi suo cliente. Gli spiegai come avevo avuto l'indirizzo, lodai il suo taglio, gli chiesi di farmi un vestito. Scegliemmo un pettinato grigio quindi egli prese le misure, e si offerse di venire, per la prova, a casa mia. Gli chiesi il prezzo. Non c'era fretta, lui rispose, ci saremmo sempre messi d'accordo. Che uomo simpatico, pensai sulle prime. Eppure pili tardi, mentre rincasavo, mi accorsi che il vecchietto aveva lasciato un malessere dentro di me (forse per i troppi insistenti e melliflui sorrisi). Insomma non avevo nessun desiderio di rivederlo. Ma ormai il vestito era ordinato. E dopo una ventina di giorni era pronto. Quando me lo portarono, lo provai, per qualche secondo, dinanzi allo specchio. Era un capolavoro. Ma, non so bene perché, forse per il ricordo dello sgradevole vecchietto, non avevo alcuna voglia di indosasrlo. E passarono settimane prima che mi decidessi.

 Quel giorno me lo ricorderò per sempre. Era un martedì di aprile e pioveva. Quando ebbi infilato l'abito — giacca, calzoni e panciotto — constatai piacevolmente che non mi tirava o stringeva da nessuna parte, come accade quasi sempre con i vestiti nuovi. Eppure mi fasciava alla perfezione.

 Di regola nella tasca destra della giacca io non metto niente, le carte le tengo nella tasca sinistra. Questo spiega perché solo dopo un paio d'ore, in ufficio, infilando casualmente la mano nella tasca destra, mi accorsi che c'era dentro una carta. Forse il conto del sarto?

 No. Era un biglietto da diecimila lire.

 Restai interdetto. Io, certo, non ce l'avevo messo. D'altra parte era assurdo pensare a un regalo della mia donna di servizio, la sola persona che, dopo il sarto, aveva avuto occasione di avvicinarsi al vestito. O che fosse un biglietto falso? Lo guardai controluce, lo confrontai con altri. Piú buono di cosínon poteva essere.

 Unica spiegazione possibile, una distrazione del Corticella. Magari era venuto un cliente a versargli un acconto, il sarto in quel momento non aveva con sé il portafogli e, tanto per non lasciare il biglietto in giro, l'aveva infilato nella mia giacca, appesa ad un manichino. Casi simili possono capitare.

 Schiacciai il campanello per chiamare la segretaria. Avrei scritto una lettera al Corticella restituendogli i soldi non miei. Sennonché, e non ne saprei dire il motivo, infilai di nuovo la mano nella tasca.

 « Che cos'ha dottore? si sente male? » mi chiese la segretaria entrata in quel momento. Dovevo essere diventato pallido come la morte. Nella tasca, le dita avevano incontrato i lembi di un altro cartiglio; il quale pochi istanti prima non c'era.

 « No, no, niente » dissi. « Un lieve capogiro. Da qualche tempo mi capita. Forse sono un po' stanco. Vada pure, signorina, c'era da dettare una lettera, ma lo faremo piú tardi. »

Solo dopo che la segretaria fu andata, osai estrarre il foglio dalla tasca. Era un altro biglietto da diecimila lire. Allora provai una terza volta. E una terza banconota uscí.


 Il cuore mi prese a galoppare. Ebbi la sensazione di trovarmi coinvolto, per ragioni misteriose, nel giro di una favola come quelle che si raccontano ai bambini e che nessuno crede vere.


 Col pretesto di non sentirmi bene, lasciai l'uffcio e rincasai. Avevo bisogno di restare solo. Per fortuna, la donna che faceva i servizi se n'era già andata. Chiusi le porte, abbassai le persiane. Cominciai a estrarre le banconote una dopo l'altra con la massima celerità, dalla tasca che pareva inesauribile.

 Lavorai in una spasmodica tensione di nervi, con la paura che il miracolo cessasse da un momento all'altro. Avrei voluto continuare per tutta la sera e la notte, fino ad accumulare miliardi. Ma a un certo punto le forze mi vennero meno.

Dinanzi a me stava un mucchio impressionante di banconote. L'importante adesso era di nasconderle, che nessuno ne avesse sentore. Vuotai un vecchio baule pieno di tappeti e sul fondo, ordinati in tanti mucchietti, deposi i soldi, che via via andavo contando. Erano cinquantotto milioni abbondanti.

 Mi risvegliò al mattino dopo la donna, stupita di trovarmi sul letto ancora tutto vestito. Cercai di ridere, spiegando che la sera prima avevo bevuto un po' troppo e che il sonno mi aveva colto all'improvviso.

 Una nuova ansia: la donna mi invitava a togliermi il vestito per dargli almeno una spazzolata. 

Risposi che dovevo uscire subito e che non avevo tempo di cambiarmi. Poi mi affrettai in un magazzino di abiti fatti per comprare un altro vestito, di stoffa simile; avrei lasciato questo alle cure della cameriera; il "mio", quello che avrebbe fatto di me, nel giro di pochi giorni, uno degli uomini piú potenti del mondo, l'avrei nascosto in un posto sicuro.

 Non capivo se vivevo in un sogno, se ero felice o se invece stavo soffocando sotto il peso di una fatalità troppogrande. Per la attraverso l'impermeabile, palpavo continuamente in corrispondenza della magica tasca. Ogni volta respiravo di sollievo. Sotto la stoffa rispondeva il confortante scricchiolio della carta moneta.


 Ma una singolare coincidenza raffreddò il mio gioioso delirio. Sui giornali del mattino campeggiava la notizia di una rapina avvenuta il giorno prima. Il camioncino blindato di una banca che, dopo aver fatto il giro delle succursali, stava portando alla sede centrale i versamenti della giornata, era stato assalito e svaligiato in viale Palmanova da quattro banditi. All'accorrere della gente, uno dei gangster, per farsi largo, si era messo a sparare. E un passante era rimasto ucciso. Ma soprattutto mi colpi l'ammontare del bottino: esattamente cinquantotto milioni (come i miei), Poteva esistere un rapporto fra la mia improvvisa ricchezza e il colpo brigantesco avvenuto quasi contemporaneamente? Sembrava insensato pensarlo. E io non sono superstizioso. Tuttavia il fatto mi lasciò molto perplesso.

 Piú si ottiene e pif si desidera. Ero già ricco, tenuto conto delle mie modeste abitudini. Ma urgeva il miraggio di una vita di lussi sfrenati. E la sera stessa mi rimisi al lavoro. Ora procedevo con pid calma e con minore strazio dei nervi. Altri centotrentacinque milioni si aggiunsero al tesoro precedente.

 Quella notte non riuscii a chiudere occhio. Era il presentimento di un pericolo? O la tormentata coscienza di chi ottiene senza meriti una favolosa fortuna? O una specie di confuso rimorso? Alle prime luci balzai dal letto, mi vestii e corsi fuori in cerca di un giornale.

 Come lessi, mi mancò il respiro. Un incendio terribile, scaturito da un deposito di nafta, aveva semidistrutto uno stabile nella centralissima via San Cloro. Fra l'altro erano state divorate dalle fiamme le ca.sseforti di un grande istituto immobiliare, che contenevano oltre centotrenta milioni in contanti. Nel rogo, due vigili del fuoco avevano trovato la morte.

 Devo ora forse elencare uno per uno i miei delitti? Sí, perché ormai sapevo che i soldi che la giacca mi procurava, venivano dal crimine, dal sangue, dalla disperazione, dalla morte, venivano dall'inferno. Ma c'era pure dentro di me l'insidia della ragione la quale, irridendo, rifiutava di ammettere una mia qualsiasi responsabilità. E allora la tentazione riprendeva, allora la mano era cosí facile! si infilava nella tasca e le dita, con rapidissima voluttà, stringevano i lembi del sempre nuovo biglietto. I soldi, 1 divini soldi!

 Senza lasciare il vecchio appartamento (per non dare nell'occhio), mi ero in poco tempo comprato una grande villa, possedevo una preziosa collezione di quadri, giravo in automobile di lusso e, lasciata la mia ditta per "motivi di salute", viaggiavo su e giü per il mondo in compagnia di donne meravigliose.

 Sapevo che, ogniqualvolta riscuotevo denari dalla giacca, avveniva nel mondo qualcosa di turpe e doloroso. Ma era pur sempre una consapevolezza vaga, non sostenuta da logiche prove. Intanto, a ogni mia nuova riscossione, la coscienza mia si degradava, diventando sempre piú vile. E il sarto? Gli telefonai per chiedere il conto, ma nessuno rispondeva. In via Ferrara, dove andai a cercarlo, mi dissero che era emigrato all'estero, non sapevano dove. Tutto dunque congiurava a dimostrarmi che, senza saperlo, io avevo stretto un patto col demonio.


 Finché, nello stabile dove da molti anni abitavo, una mattina trovarono una pensionata sessantenne asfissiata col gas; si era uccisa per aver smarrito le trentamila lire riscosse il giorno prima (e finite in mano mia).

 Basta, basta! per non sprofondare fino al fondo dell'abisso, dovevo tazzarmi della giacca. Non già cedendola ad altri, perché l'obbrobrio sarebbe continuato (chi mai avrebbe potuto resistere a tanta lusinga?) Era indispensabile distruggerla.

 In macchina raggiunsi una recondita valle delle Alpi, Lasciai l'auto su uno spiazzo erboso e mi incamminai su per un bosco. Non c'era anima viva. Oltrepassato il bosco, raggiunsi le pietraie della morena. Qui, fra due giganteschi macigni, dal sacco da montagna trassi la giacca infame, la cosparsi di petrolio e diedi fuoco. In pochi minuti non rimase che la cenere.

 Ma all'ultimo guizzo delle fiamme, dietro di me — pareva a due o tre metri di distanza -— risuonò una voce umana: « Troppo tardi, troppo tardi! ». Terrorizzato, mi volsi con un guizzo da serpente. Ma non si vedeva nessuno. Esplorai intorno, saltando da un pietrone all'altro, per scovare il maledetto. Niente. Non c'erano che pietre.

 Nonostante lo spavento provato, ridiscesi al fondo valle con un senso di sollievo. Libero, finalmente. E ricco, per fortuna.

 Ma sullo spiazzo erboso, la mia macchina non c'era piú. E, ritornato che fui in città, la mia sontuosa villa era sparita; al suo posto, un prato incolto con dei pali che reggevano l'avviso « Terreno comunale da vendere ». E i depositi in banca, non mi spiegai come, completamente esauriti. E scomparsi, nelle mie numerose cassette di sicurezza, i grossi pacchi di azioni. E polvere, nient'altro che polvere, nel vecchio baule.

Adesso ho ripreso stentatamente a lavorare, me la cavo a mala pena, e, quello che è piú strano, nessuno sembra meravigliarsi della mia improvvisa rovina.

 E so che non è ancora finita. So che un giorno suonerà il campanello della porta, io andrò ad aprire e mi troverò di fronte, col suo abbietto sorriso, a chiedere l'ultima resa dei conti, il sarto della malora.


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